素数に恋する女

♥番外編 第3話♥

文系女にもわかる 2015年ノーベル賞日本人受賞者の功績

まゆ:生理学・医学賞の大村智博士の功績は偉大やなぁ。地道な研究でアフリカの難病の効果的な薬を生み出したんやで。薬の世界で生きる者として、ただただ尊敬ですわ(※1)

とも:ノーベル賞取る前から、このお方を知ってたかのような口ぶりやなw?

まゆ:知らんかったけどw(テへ)。でもな、大村博士の功績は野口英世の功績に匹敵するんやで。こう言えば、文系のあんたにもわかるやろ

とも:どゆこと

まゆ:アフリカのある地方では、ほとんどの人が、子供のうちに寄生虫に感染するんやけど、その影響で感染した人は20歳までに失明するんやなぁ。こわいやろ。その感染症の原因である寄生虫をやっつける薬を作ったのが大村博士なんや(※2)

とも:うん。それは確かに凄いな

まゆ:しかもその薬の素になる物質は日本のゴルフ場の土から採取した微生物から生まれたんやで

とも:へぇ〜、そぉなんや。で、もぉ1人、ノーベル賞取った人おるやん。梶田さんやったっけ。よくわからんのやけど、ニュートリノって何?

まゆ:物理学賞の梶田隆章博士の功績のこと? 私の専門ではないねんけど…ざっくり言うと、星が爆発するといろんな物質が宇宙に放出されるねんけど、その中にニュートリノっていう物質があるんや

とも:それって、おいしい?

まゆ:は? でもなぁ、もしかしたら、生まれてから今まで、何度か、ともの体内に入ったかも知れんでw ニュートリノって宇宙から雨のように地球に降り注いでるからなぁ

とも:え、まじで?

まゆ:ニュートリノは、あらゆる物質を通り抜けていくんや。だから、ともの体にも入っててもおかしくはないで

とも:それって、ばい菌なんか?

まゆ:そぉいうモノとは違う。どんな物質でも通り抜けるから、質量、つまり重さがないと言われていたし、理論上もそれが常識と思われてた。ところが、梶田博士は、観測でニュートリノに重さがあることを見つけたんや(※3)

とも:あ、そぉやったんか! わかったわ。私の体重が時々、増えるのはニュートリノが大量に私の体の中に取り込まれてたからやな! それはノーベル賞に値する発見やな!

まゆ:それは絶対に違う!! あんたは底抜けにおめでたいなw ニュートリノって光の速さで物質を通り抜けるから、体内にたまることはないねん。それに体重計でわかるほど大量に降り注ぐことはないでw

とも:そうなんか。ノーベル賞で私の体重が増える理由が解き明かされたと思ったのに

まゆ:それはノーベル賞の力を借りるまでもなく、あんたの不摂生に原因があると思うでw

とも:じゃあ、まゆも、不摂生でもやせる薬を開発してノーベル賞、目指しぃな!

まゆ:そんなん、薬の力を借りんでも、バランスの取れた食事、適度な運動で解決できるやん

とも:やっぱり、そこに行き着くんか…(´・ω・`)

♥ 脚注 ♥

※1 まゆは薬剤師
 一時期、ドラッグストアに勤務していたこともあり、そこでイラストやPOPを描くスキルを身につける。現在は調剤薬局勤務だが、彼女の職場の近所では「あそこ薬局やのにドラッグストアっぽい」という噂が…

※2 イベルメクチン (ストロメクトール)
 抗寄生虫薬。大村博士が研究のうえ、量産化に道筋をつけたこの薬は、まゆの説明にある失明をもたらす感染症「河川盲目症」のほか、日本ではダニによる感染症「疥癬(かいせん)」の治療薬としても知られている(この場合、健康保険適用で処方。日本では「ストロメクトール」という商品名)。また人間だけではなく肉用牛などにも感染症の薬として与えられることもある。

※3 スーパーカミオカンデ
 岐阜県飛騨市神岡鉱山の地下に設置された、日本が世界に誇るニュートリノ観測施設。梶田博士も、この施設での観測からノーベル賞へつながる発見をした。
 「スーパーカミオカンデ」の施設自体は比較的簡単な構造で、地下1000mのところで、50,000トンの超純水を蓄えたタンクになっている。タンクの内側には11,200本もの光電子増倍管を設置しており、これで、ニュートリノが超純水の水分子衝突した瞬間に発する僅かな光を観測している。
 なお、ニュートリノは空から降り注ぐだけではなく、地球の裏側からやってきて、空へ抜けていくものもある。
→ 関連リンク:東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設

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Last Update 2015/11/3 © 2015「素数に恋する女」製作委員会 All Rights Reserved.