まゆ:そぉいえば、この前、まりこに会ったわ
とも:まりこ? ああ、まゆと仲が良かったメガネっ
まゆ:メガネっ娘って(笑)。まぁ、そぉやねんけど、まりこのお腹が大きくなってたんや
とも:食べ過ぎなんか?
まゆ:そんな昭和時代のボケはいらん。妊娠6か月らしいわ。「6か月にしては大きすぎひん?」って訊いたら、どうやら双子らしいねん
とも:うちらと同い年のくせに、もぉ妊娠しとんかいな。しかも双子。うちらなんか赤ちゃんどころか、結婚すらまだやっていうのに!
まゆ:ひがんでるんかいな(笑)。何はともあれ、おめでたいやん
とも:おめでたいけど、双子って育てるの大変そうやで
まゆ:そうやろなぁ。それで、双子といえば素数やん
とも:は?
まゆ:な、何? 私、おかしな話してる?
とも:てっきり、お祝いをどうするかとか、そんな話をするんかと思ったんやけど?
まゆ:お祝い? そんな話は後でもええやん。生まれるまで4か月もあるし。それやったら素数の話のほうが面白いやん
とも:意味がわからん!
まゆ:素数にも双子があるっていうことを、一般人に知ってもらいたいねん
とも:何が「一般人」やねんな! あ、わかった。素数ゼミみたいに素数の間隔で双子が生まれやすい年があるんや!(どやぁ!)
まゆ:違う違う。素数にはいろんな種類があって、その中に「双子素数」っていうのがあるねん
とも:なんやそれ
まゆ:双子素数とは、2つの素数の差が「2」になる素数の組み合わせ。たとえば「3と5」とか「11と13」みたいな素数の組み合わせのこと
とも:そんなん、いっぱいありそうやん
まゆ:現時点で最大の双子素数は 38万桁以上の数の組み合わせやねんけど、おそらく、これを上回る双子素数があると思われてるねん。(※1 , ※2)
とも:じゃあ「3と5と7」のように、2を足すごとに素数が3つ並ぶ組み合わせは「三つ子素数」って言うんか?
まゆ:お、鋭い!やっと、あんたも、素数の魅力がわかってきたな!
とも:そういうわけやないけど…
まゆ:本当はそうやねん。でもな、無限にある素数で、このタイプの素数の組み合わせは「3と5と7」の1種類しかないねん。あんた、ピタゴラス級の発見やわ
とも:こんなん、小学生でも気づくわ
まゆ:正しくは「3, 5, 7のような組み合わせの三つ子素数」は1組しかないねん。例えば、5を1番目の数として、5+2、5+4の3つの数は三つ子素数にはならへんやろ
とも:うーん。「5, 7, 9」も「7, 9, 11」も、9が素数やないなぁ…11からやったら15が素数と違うしなぁ…
まゆ:そやねん。これ、永遠に繰り返しても同じで、3つの数のどこかに「3の倍数」が入るねん
まゆの話が長くなるため、まとめると「3, 5, 7」のタイプの三つ子素数が1組しか存在しない理由は下記のように説明できる
(1) 「3, 5, 7」のように1つ置きで連続する3つの数は、次のように表すことができる。
n , n + 2 , n + 4
(2) n が3の場合は、下記のように表すことができ、すべて素数になる。
3 , 3+2=5 , 3+4=7
(3) では、n が3以外の場合、すべて素数になることはないのか?
「n =3の倍数」だった場合 → n そのものが3の倍数である
「n =3の倍数+1」だった場合 → 「n +2」は「3の倍数+3」に等しい
→ つまり3の倍数が含まれる。
「n =3の倍数+2」だった場合 → 「n +4」は「3の倍数+6」に等しい
→ やっぱり3の倍数が含まれる。
結論
「1つ置きで連続する3つの自然数」には、必ず3の倍数が含まれることになるが、3は素数のため、n =3に限り、3つの数は素数となる。
とも:なるほどなぁ。よし、素数の話も終わたことやし、帰ろかー
まゆ:この話は、まだ終わらへんねん
とも:私の中では終わっとぉけど
まゆ:数学者は、これでは終わらせんかってん。新たな「三つ子素数」の定義を決めよったんや。ある特定の素数を p とすると、「 p と p+2 と p+6 」と「 p と p+4 と p+6 」の2通りの組み合わせを「三つ子素数」と定義してん(※3)
とも:なんで、そんな煩わしいことするの?
まゆ:「pとp+2とP+4」の三つ子素数は「3と5と7」しかないから、数学者にしてみると面白くないらしい。そこで無数にありそうな三つ子素数を定義して、いろいろ研究してるんや
とも:わざわざ難しくするなんて、数学者ってマゾなんか?
まゆ:さすがに私もわからんわ。同じような定義で「四つ子素数」というのもあるけど、私の趣味ではないから割愛するわw(※4)
とも:素数女にも素数の好き嫌いがあるんやなw
まゆ:あとなぁ、「いとこ素数」ってのもあるでぇ
とも:まだ、続くんかい!
まゆ:いとこ素数は2つの素数の差が「4」の素数の組のこと。たとえば「3と7」とか「7と11」がそうやな。今やったら「セブンイレブン素数」って名付けられたかも
とも:なんで「いとこ」なん?
まゆ:いとこは4親等やから…らしいわ。私が今、適当に言うたんやないで
とも:ほんまかぁ(疑いのまなざし)
まゆ:極めつけは「セクシー素数」やな。これは2つの素数の差が「6」になる組み合わせのことやねん。たとえば「5と11」はセクシー素数
とも:絶対、あんた、今、苦し紛れに思いついたやろw話を面白くしようと思って!
まゆ:ちがうわっ。ラテン語で6のことをsexって表記するからや。セックス素数とせんかったんは教育的配慮からやな。きっと
とも:ほんまかぁ。いとことかセクシーは数学者やのうて、絶対、あんたみたいなマニアが名付けたと思うわ
まゆ:あとな、素数は無限にあるのに、セクシー素数の5つ子ちゃんは一組しか存在せえへんねんで。「5と11と17と23と29」が、それや
とも:じゃあ、セクシー素数の六つ子ちゃんはおるんか?ダブルでセクシーやろ
まゆ:残念ながら、ダブルでセクシーな素数は存在しないことがわかってる
とも:素数って、肝心なところで期待を裏切るなw
素数姫の算数帳:姉妹素数とは?
♥ 脚注 ♥
※1 2016年9月現在、最大の双子素数は2016年9月に発見された「2,996,863,034,895 × 21,290,000±1」。十進法にすると388,342桁になる。
※2 双子素数予想
素数が無限に存在することは証明されているが「双子素数が無限に存在するのか」という問題は証明されていない。これを「双子素数予想」という。
逆に、現在発見されている巨大双子素数よりも小さい素数にも未知の双子素数があり、2011年に200,700桁の双子素数が発見された4年後の2015年には59,855桁、2016年には60,218桁、60,219桁の双子素数が発見されている。
→ 関連リンク:The Ten Largest Known Twin Primes (英語)
※3 数学の世界では素数は英語の「prime number」の頭文字をとって「 p 」で表す
※4 四つ子素数
「p, p+2, p+6, p+8」がすべて素数の組。四つ子素数には双子素数2組(「p, p+2」と「p+6, p+8」)、三つ子素数1組(「p+2, p+6, p+8」)、いとこ素数1組(「p+2, p+6」)、セクシー素数2組(「p, p+6」と「p+2, p+8」が含まれている。
ちなみに最小の四つ子素数は「5, 7, 11, 13」である。定義によって「五つ子素数」「六つ子素数」も存在する。
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Created 2015/9/13 , Last Update 2016/9/18
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