まゆ:ともも素数の魅力がわかったところで…
とも:わかってないってw 私を洗脳しようと思ってるな!
まゆ:そのうち絶対にハマるからw で、素数って、どぉやって見つけるか知っとぉ?
とも:1は1としか割れんから素数やない。2は1と2だけでしか割れんから素数…って言う感じで順番に検算して見つけるんか?
まゆ:あんた、素数をナメてるやろw 今、発見されてる最大の素数は1700万桁を超えてるんやで。そのやり方やったら何年かかると思ってるねんな!(※1)
とも:そもそも1700万桁も、そのやり方でやってたら、何年のスパンで済まんやろw
まゆ:悲しいことに、素数には規則性がないから簡単には見つけられんのですわ。素数を見つける式はあるにはあるんやけど、1個の数式では計算できひんねん。(目頭をハンカチで押さえる)
とも:それは、悲しいことなんか?
まゆ:でも、数学ド素人のあんたにでも「素数の可能性がある数」を探す方法はあるんやで
とも:軽く馬鹿にされてるような気がするけど、まぁええわ。“素数の可能性がある数”ってどゆこと。せっかくやから、ずばり“素数”を見つけたいやん
まゆ:素数は無限にある上に規則性がないから、簡単には見つけられへんねん。ま、これは後で説明するんやけど、このような性質を持つ素数はインターネットの暗号化通信でも利用されてるんやな(※2,※3)
とも:後で説明…って、素数の話、まだ続くんかいな
まゆ:あたりまえやん。そこがゴールや
とも:先が長そうやな
まゆ:話を元に戻すと“素数の可能性がある数”を探す方法は、数の表を作るんやな。表と言っても、Excelに数式入れて…とかじゃなく、ただただ数を並べるだけ
とも:これ、字で書き起こすから、表とか載せられんわ
まゆ:あんたの得意なExcelで作って、画面ショット撮ればええやんw
とも:それやったら、あんたがホームページ作ってやりいな(※4)
まゆ:眠そうにしてるから、Excel起動して、方眼紙作ろかw
とも:結局私がやるんか。これでええんか?
まゆ:ええやん。じゃあ、とりあえず、その画面の真ん中らへんに「1」を置こうか。きっちり真ん中でなくてもええわ
とも:こぉ?
まゆ:お、上手やん。さすがExcelマスターやな
とも:Excel方眼紙に1を置いただけやん。こんなんで褒められても、ちっとも、うれしくないわ
まゆ:その「1」の右隣のますに「2」、その上のますに「3」…
とも:「ます」って…「セル」って言いやw
まゆ:わかった。「3」の左に「4」、その左の「5」、「5」の下に「6」、「6」の下に「7」、「7」の右に「8」…
とも:1を中心に渦巻きを書くように数を並べるんやな
まゆ:うん、そうそう。ちょっとお手洗いに行ってくるから、出来るところまで作っといてやw
とも:えええ!
とも:とりあえず、ここまで作ったわ
まゆ:で、素数のますを黄色に色づけしようか
とも:めんどくさいな
まゆ:なんか、パターンが見えてきたやろ
とも:んー?確かに斜めに素数が並んでるように見えるなぁ
まゆ:これでも規則性はないんやけど、斜めに並ぶ傾向があるやろ。たぶん197以上の数を同じように並べても、その線上に素数らしき数が出てくるはずなんよ。その対角線上の数を追えば、そこにある数は“素数の可能性がある数”やねん
とも:へぇ。すごいな。あんたが見つけたんか?
まゆ:そうやぁ!って言いたいけど、これ「ウラムのらせん」っていうんやけど…
とも:恨むのらせん?なんか、ヤバいんと違うん。これって、こっくりさんとかの仲間?
まゆ:ウラムって数学者の名前や。で、このウラムさんが退屈なときに落書きをしていたら、偶然、これを見つけたらしいわ。興味があったら何万もの数でやったやつがネット上にあるから、探してみるとええわ(※5)
とも:落書きも侮れんなぁ
まゆ:で、今日のまとめ。渦巻き状に数を並べると素数を見つけやすくなる。つまり蚊取り線香を思い浮かべるやろ。蚊取り線香といえば夏やろ。ゆえに素数は夏の数なんよ
とも:こんだけ説明しておいて、結論はそこ!?
まゆ:実は、この「ウラムのらせん」も不思議な性質をもってるねん。せっかく作ってもらったんやけど、全部消して、真ん中に好きな数置いてみよっか?
とも:好きな数?なんでもええんか?
まゆ:なんでもええよ。あんたのキャッシュカードの暗証番号でもええで
とも:新手の詐欺かwじゃあ、私の年齢で…
まゆ:それ誰の年齢やねん!それのほうが詐欺やろ!
とも:失礼な!
まゆ:まぁええわ。それで渦巻き状に数を順番に置いていこっか
とも:できたで
まゆ:早いやん。素数に惚れたな?
とも:なんでそうなるかなー
まゆ:素数にマーキングするで。間違えんように素数表もってきたで(※6)
とも:なんで、そんなもん持ってるんや
まゆ:ロト買うときに便利やろ
とも:当たったことあるんかいな
まゆ:それは秘密
とも:それにロトやったら44から後の数はいらんやろ…(※7)、あれっ。また斜めの模様が出てきたで
まゆ:凄いやろ。感動やろ
とも:なんか、だまされてるみたいやわ
まゆ:な、な、不思議やろ。じゃあ次は、あんたの本当の歳で始めよか?
とも:それはやめて。まゆと私は同級生やから、あんたの歳もばれるで
まゆ:じゃあ、今日はこれで許したるわ。でもな、どんな数を真ん中にしても、こういう模様があらわれるんやなぁ
とも:なんで、そぉなるの?
まゆ:わからん!
とも:ここまで説明しておいて、わからんはないやろw
まゆ:ウラムのらせんで、なぜ、このような模様が現れるのかは、わかっていない…というのは本当。素数の特徴として、2以外はすべて奇数。それにウラムのらせんでは奇数の対角線と偶数の対角線が出来るので、奇数の対角線上に素数が現れるのは必然なのよ。でも、なぜ、素数が連続で並ぶのかは解明されてないねん
とも:おー。なんか先生みたいなこと言うとぉで。ちょっとだけ見直したわ
まゆ:尊敬してくれる?
とも:うん。だから、今度、ロトが当たったら何かおごってな?
まゆ:なんでやねん!
♥ 脚注 ♥
※1 2015年現在、最大の素数
2の57,885,161乗から1を引いた数が、現時点で知られている最大の素数。十進法にすると1742万5170桁になる。
→ 関連リンク:The Prime Pages, The Top Ten Record Primes (英語)
※2 素数が無限に続く証明については「第7話 素数とは無限に続く数である」を参考のこと。
※3 暗号化通信の仕組みについては「第6話 素数とは秘密の数である」を参考のこと。
※5 スタニスワフ・ウラム (1905〜1984)
アメリカの数学者。数学以外にも、水素爆弾の構造の考案も手がける。「ウラムのらせん」は学会で他人の発表が退屈で、手元のメモ用紙に落書きをしていたときに偶然に発見した。
※6 素数表
素数表150000個 (真実のみを記述する会・著)
※7 ロト
数字選択式の宝くじのこと。日本では「ナンバーズ3」「ナンバーズ4」「ミニロト」「ロト6」「ロト7」の5種類がある。
たとえば「ロト6」では1〜43までの数のうち6個の数を選ぶため、44以降の数は不要だが、「ナンバーズ3」は000〜999から3桁の数、「ナンバーズ4」は0000〜9999から4桁の数を選ぶタイプのため、やっぱり素数表が手放せない。
ちなみにロトくじに含まれる素数は、「ミニロト」で2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31。「ロト7」は、これに加えて37。「ロト6」では41,43も含まれる。
→ 関連リンク:みずほ銀行宝くじコーナー 当せん番号案内(ロト)
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Last Update 2015/9/6
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